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百景図よもやまばなし

第76図 すきのない釣り姿

76侍はいいなぁ 

呑気に釣りなんかして‥

と言ったら侍に怒られ

そうである。

そうなんです。

釣りも侍にとっては

鍛錬の一つだったのです。見て下さい、この構え。竿の持ち方は将に剣の持ち方。

左足をやや後ろに引いて、「よらば切るぞ」といった風である。

よその藩では、わざわざ竿を刀の重さに作ったところもあると聞く。

子どもも「父上、すきあり」といった感じか?(ちょっと考え過ぎ)

この場所七曲りは城下から5,6キロは離れている。川が蛇行し、

淵がたくさんあり魚釣りにはもってこいだ。

ここを数キロ下り、そこから枡が峠の山越えをして帰らねばならない。(現在は青野山トンネルがある)

合計すれば10キロ以上ある。こうして日頃から足腰を鍛えておかなければ、

参勤交代の務めなど、どだい無理なのだ。

侍にとっては釣りは遊びではなく、まさしく「釣道」なのである。

(釣りの好きな自分にとっては、女房に必死で言い訳しているような気分である。)

この絵を見た人が、「三人の竿が作りだす空間がなんともいいねえ」と言ったこと最後に思い出した。