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百景図よもやまばなし
第22図 気になる侍
と思ってしまった。
この顔つき、鼻筋といい、頤の風格といい
高貴な面持ちだ。
百景図にはいろんな武士が出るが、
これほどの風格を持った武士はいない。
98図御旗上覧に登場する殿様と横顔がよく似ている。
後ろに控えている裸足の小者は、草履持ちである。
横にいる女性は、藩邸の庭に咲いている花菖蒲を手にしている。
誰もかれも手に入るものではない。
橋の上では裃を着て正装した侍が待っている。
上司と出会えば下の者は待たなくてはならない。
この絵の主人公のような人だが、格斎さんは解説に名前を記していない。
記す必要はない、亀井家なら誰もが知っている玆監公だから。
そういうことで、玆監公の城下のお忍び歩き、それに違いないと確信してしまった。
だがそれは、やはりテレビの観過ぎだったようである。(暴れん坊将軍?)
皆さんはこう言う。
殿様の衣装にしては粗末だねー。
第一供侍がいないのは考えられないよ。物騒で歩けやしない。
この女性の身なりは町方の人でしょう。そんな人を連れて歩くかなー。
いちいちもっともで否定はできない。
ということで殿様の忍び歩きは一時おあずけになった。
格斎さんの解説の中にちらっと出てくるのは、牧家である。
「牧家の二人にゃ女房がない」と。若しかすれば家老牧家の関係者なのかもしれない。
牧家は唄に歌われるぐらいだから、皆に親しまれていたようだ。
いずれにしてもこの絵は、いろんなストリーが生まれる面白い一枚である。
ちなみにこの松、現在のものとそっくりだが実は二代目だろうといわれている。
もし昔のものなら今の1.5倍は太さがほしいところだ。