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百景図よもやまばなし

第36図 やつさは流鏑馬ではない?

36この絵どう見ても流鏑馬であるが、

格斎さんは「やぶさめとはいいがたし」

と城下町絵図の解説の中で述べている。

その理由に行縢(むかばき)もないし

綾藺笠(あやいがさ)もないということである。

青原の弥三郎が初めてやったので、

「やつさ」と呼んでいるのだと百景図解説にある。そして射手は地元の百姓(農夫)だという。

ということで、武士のやる流鏑馬とは一線を画していたようだ。

武士の流鏑馬を百姓が真似するということで、武士はからかい

馬は爆走し、百姓は必死で的をねらう。

後を追い駆けるは、落馬の時の介抱役か、はたまた、ためらう馬の鞭役か?

そんな図に見える。いずれにしても祭一番の盛り上がりだったに違いない。

私が子供の頃にも、近くの馬車引きのおじさんがこの大役を果たしていた。

大きな脚をした駄馬にまたがり、衣装もなんとなくそれらしく装い、普段のおじさんではなかった。

どっかどっかと的に近づくと、そこで馬は一旦停止。おじさんはじっくり狙って、

ひょうと矢を放つがこれが的外れ。馬はそのまま呑気に放尿。

ぱらぱらといた祭の観客(ほとんど地元民)は、大笑い。実にのどかなお祭だった。

今は鎌倉の小笠原流宗家の皆さんが、華麗な流鏑馬神事をされるようになった。

地元のお祭というより日本のお祭になっている。