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百景図よもやまばなし

第52図 夜明けを急ぐ亀井公

52高揚提灯を灯して急ぐ一行は

幾久の猟場へ向かう玆監公と

御供の皆さんである。

時刻は朝方の4時ごろ。

秋深まる頃、冷え冷えした

夜明けを静かに急いでいる。

場所は西周家を少し過ぎたところ。切り株の土手の向こうは錦川。

そのまた向こうに青野が見える。

駕籠の中の殿様は、今日の猟に心ときめかしていたに違いない。

略供とあるように今日は皆軽装である。駕籠もいつもの乗り物とは違い簡素である。

供侍も肩衣でなく羽織である。ぶっさき羽織といって刀の鞘がきれいに出るので幕末に流行した。

徒士組は股引を穿いている。手提げの提灯を持つのはその頭だろうか。

どこか厳しい顔をして睨みをきかせている。

高揚提灯を持つのは手回り組かと思われるが、足半(あしなか)を履いているようだ。

草履の後ろ半分がない。踵は土に着くわけであるが、非常に機能的だったようだ。

戦いのない時代には、もっぱら身分の違いで履き分けていたということだ。

この図の後ろに坊主頭が見える。若しかしたらお数寄屋番の格斎さんかもしれない。

猟場にあった「含碧亭」で殿様にお茶を淹れるのであろう。

それにしてもこの図は明る過ぎて、夜明け前というのを忘れてしまう。