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百景図よもやまばなし

第60図 山陰道石見路の果て

60野坂峠は山陰道石見の終点である。

この絵の近くに、今は道の駅

「願成就温泉」が建っている。

山陰道とはいわば今の国道九号線

のようなものである。山陰道は小郡が

終点だったが、九号線は下関だ。

野坂峠を越えるとここから先は長門の国になる。今は山口県と島根県の県境だ。

長門側では山陰道と言わず、石州街道というのが一般的だったようだ。

この絵は百景図の中でもなかなか秀作であると思う。テレビなどでたとえれば

動画を一時停止したような図で、再生ボタンを押せば今にも動き出しそうである。

馬の蹄の音、いななき。馬方の腕に力がこもり、「アオよ、こっちに寄れ」などと言う声も聞こえそうだ。

近くの馬を見てアオが興奮したのかもしれない。当時は牡馬同士が出会うと、

とんでもないことがよく起こったそうだ。去勢技術がなかったせいだ。

武士も驚いて振り返っている。虚無僧は尺八一本を帯に差し、颯爽と歩いている。

巧みな遠近法で、街路の松並木の美しさと、細くなる道がこれから続く、

果てしない旅を予想させる。峠の向こうからやってくる旅人の頭も心にくい演出だ。

向こうに2本立っている道標の石、この一本は、実は津和野の郷土館の前庭に立っている。

是より北津和野領とある。(從是北津和野領)この石柱も是非見てほしい文化財だ。

この山陰道の道は今でも山の中に残っている。少年鴎外もここを通って東京へ旅立った。

津和野に来られたら是非歩いてほしい道の一つだ。

kmkmtyty

財間酒場の

道をまっす

ぐ1㎞先、

野坂峠に続

く石畳の

道が出現する。

途中切れるが又山中に出現する。歩くのは秋から冬がおすすめだ。