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百景図よもやまばなし

第72図 天神祭の賑わいは今

72「よいさあ、ちょいさあ」

「もっとこっちだ、こっちに寄れ」

「押すな,押すな、深いぞ」

「上だ、もっと上にあがれ」

威勢のいい掛け声とともに、

大勢の若い衆が担ぐ神輿が、

にぎやかに津和野川を渡っていく。真ん中の青い半纏は神輿の仕切り役か。周囲に気を配っている。

天神祭の一番のイベント、暴れ神輿の川渡りだ。天神様は雷の神。

水を呼び込む神ということで、こうして裸で川へ飛び込んで神様を喜ばすのだ。

川を渡って下りてきた天神様は、しばらく町を練り歩き、下町の御旅所でお休みになる。

雷と同じように大暴れをするこの神輿、行く先々の家並みでも大さわぎをしていたらしい。

家の軒にぶち当たり軒が壊れても、神様の縁とみんな笑ってなおしたと聞く。

それにしても凄い賑わいだ。今古里にいるのは年寄りばかり。

川の水量もぐっと減ってしまったが、神輿を担ぐ若い衆も減ってしまった。

天神祭は残っているが、ここ数年神輿を見ることはない。

こうした賑わいが戻ってくるのはいつのことだろうか?

残したい百景図の一つである。

 

 

 

 

 

 

賑わいである。

80人はいるだろうか?

紫の法被のおじさんが

仕切り役。緑色が

その助っ人役に見える。

松明や高揚げ提灯があるところを見ると