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センター日記

【秘境を撮る】『津和野百景図』の世界へ。幾久編

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「思わずシャッターを切りたくなる」
津和野百景図の風景を通して、
そんな津和野の知られざる名所を紹介する
【秘境を撮る】シリーズ第4弾。
今回は
「幾久(いくさ)」という場所を目指します。

「幾久(いくひさ)しく…」という
美しい大和言葉を連想させる漢字ですね。

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幾久へは、
前回紹介した鷲原・喜時雨を通って一本道。
(前回までの記事:鷲原編はこちら
        喜時雨編はこちら
道中、さっそく百景図に似た風景に出会います。

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第四十九図「喜時雨瓦釜脇仮橋」
絵の奥に描かれた杉の森が、
お殿様が鴨狩りをする御猟場があるところ。
朝なのか、家が隠れるほど霧がかっていますね。

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現在も秋から冬にかけて、朝霧がたち込めます。
このあたりは
山を合間を縫うような大曲がりが多く、
霧がゆっくりと進行方向を探しながら、
迫ってくる様子が見られます。

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ちなみに百景図には
このような霧がかった絵がいくつか見られます。
昔も今も、
霧の多い土地柄は変わらないようですね。

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第五十一図「幾久鴨御猟場」
49図の杉の森の中にあった鴨の猟場。
お殿様が狩りに出る頃には、
「御猟方」と呼ばれる家臣2名が
ここへ来て鴨を飼い整え、
猟期に備えていました。
粗相があってはならないと、
鴨の管理に奮闘している家臣の姿を
想像してしまいますね。

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第五十二図「藩候幾久鴨御猟略供」
いよいよ御猟場に向かうお殿様の行列。
早朝4時ごろの出立だったので、
高く提灯を掲げる姿が描かれています。

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第五十三図「幾久の峠」
49図と同じく、
杉の森が描かれているのが御猟場。
山の麓はお殿様が御猟場に向かう道のため
通行を禁止され、庶民はわざわざ
峠を登って降りなければなりませんでした。
絵に描かれた二人の旅人は
「やれ疲れた」という様子で、
青野山と城を眺めながら一服しています。

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53図の現在地がこのあたり。
遠くに見える丸い山が青野山。
絵と変わらぬ姿で見ることができますね。
写真左手が山になってますので、
そのあたりの峠を
庶民は歩いていたのでしょうか。

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このカーブを曲がりきったところに、
バス停があります。

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バス停の名前をよく見ると、
「戦」となっています。
昔「幾久いくさ」は「戦いくさ」と書き、
ここは戦場になった場所でもあるのです。

時は戦国時代の1554年、
陶隆房(すえたかふさ)は
益田藤兼(ますだふじかね)と共に
津和野城を包囲、
4月17日に始まった合戦は104日間も続き、
12回に及ぶ激戦が繰り広げられました。
津和野城下で起こった唯一にして
最大の戦でした。

ちなみに、敵方の陶軍が陣を敷いた山は、
陶ヶ嶽(すえがたけ)と呼ばれ、
百景図にも描かれています。

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第五十九図「陶ヶ嶽」
津和野から見るとこの山は、
いつも正面が日陰になっているので、
絵でものっぺりとした
陰影のない色合いで描かれています。

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現在の陶ヶ嶽。
こんな高いところにいる敵陣と睨み合いながら、
津和野武士は104日間も耐え抜いたのですね!
「戦」という地名が残るほど、
大きな出来事だったのだろうと想像できます。

何気ない地名の背景にも、
さまざまな歴史や由来が含まれていて
それらを知ってから見る景色はまた一味違います。

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